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連載 治療最前線 脊椎脊髄疾患と主な治療法

脊椎脊髄疾患と主な治療法

整形外科 部長 富田 誠司

 近年、超高齢社会に伴い、整形外科を受診される患者数が増加し、脊椎疾患、特に腰痛や坐骨神経痛を持つ患者様が多く来院されるようになりました。

 脊椎疾患の外科的治療は多様化しています。従来の神経除圧術、脊椎固定術に加え、腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症に対する内視鏡視下手術、骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術(セメント注入術)、さらに腰椎変性疾患に対する小切開での固定術など、最小侵襲手術(MIS : Minimally Invasive Surgery)が徐々に行われるようになってきました。MISは患者様の負担を減らし、早期の社会復帰を可能にしますが、現在のところまだ限られた施設でしか行われていません。

 当科では、従来の脊椎手術だけでなく MIS を積極的に行っており、今回は当科で行っております脊椎手術の適応と後療法をご紹介させて頂きます。

Ⅰ.主な脊椎疾患

1.腰椎椎間板ヘルニア
2.腰部脊柱管狭窄症
3.骨粗鬆症性椎体圧迫骨折
4.脊椎分離症/すべり症
5.頚椎骨軟骨症
6.頚椎椎間板ヘルニア
7.頚椎後縦靭帯骨化症

Ⅱ.内視鏡視下手術実施例

●適応症例   1.腰部椎間板ヘルニア
2.腰部脊柱管狭窄症
●特  徴 皮切が約2センチと小さいため、筋肉のダメージが少なく、術後の傷の痛みが少ない。
このため、術翌日から歩行が可能となり、入院期間も短く、早期社会復帰を実現します。
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後1週間前後
③術後 : 簡易コルセット装着(1~2カ月)
脊椎手術Ⅰ 脊椎治療2 手術痕
    ↑ 術後創は約2センチ以内
1. 腰部椎間板ヘルニア 内視鏡下手術(術前・術後の比較)
手術前(MRI) ≫≫≫≫≫ 手術後(MRI)
腰部椎間板ヘルニアⅠ   腰部椎間板ヘルニア2
2.腰部脊柱管狭窄症 内視鏡下手術(術前・術後の比較)
手術前(MRI) ≫≫≫≫≫ 手術後(MRI)
術前(左画像)に対し、
術後(右画像)は
L4/5間で脊柱管狭窄
が改善しています。
 

Ⅲ.骨粗鬆症性椎体圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術
(セメント注入)実施例

●適応症例   骨癒合していない骨折
①前屈、後屈側面のレントゲンにて椎体に異常可動性があるもの
②レントゲンやCTで椎体内に空洞が認められるもの(図A)
●特  徴 皮切が小さく(約5㎜)、セメントを経皮的に注入することにより、除痛を図ることができる低侵襲な治療法です。
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後数日
③術後 : コルセット装着(約3ヵ月)
骨粗鬆症性椎体圧迫骨折 経皮的椎体形成術(セメント注入)(術前・術後の比較)
手術前(CT)図A ≫≫≫≫≫ 手術後(CT)セメント注入後
圧迫骨折セメント注入1圧迫骨折セメント注入2   圧迫骨折セメント注入3圧迫骨折セメント注入4

最近では図のように
風船を膨らませて
骨折部を整復し、セメント
を注入する(Balloon 
KyphoPlasty)も
積極的に行われている


Ⅳ.その他の脊椎手術

1.腰椎固定術

●適応症例   前屈、後屈にて不安定性のある腰部脊柱管狭窄症・腰椎変性すべり症・変性側弯症・腰椎分離(すべり)症など
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後2~3週間
③術後 : コルセット装着(6ヵ月)
腰椎変性すべり症 腰椎固定術(術前・術後の比較)
手術前(レントゲン) ≫≫≫≫≫ 手術後(レントゲン)
前屈 後屈 術前MRI    
腰椎変性すべり症1 腰椎変性すべり症2 腰椎変性すべり症3   腰椎変性すべり症4

(最近では固定術でも小さな傷で手術ができる場合があるので、担当医にご相談ください)

2.頚椎手術

1)前方固定術
●適応症例   頚部椎間板ヘルニアのように前方から脊髄を圧迫している病変
●術後経過 ①離床 : 術後翌日
②退院 : 術後約2週間
③術後 : 頚椎カラー装着(約3ヵ月)
頚部椎間板ヘルニア 前方固定術(術前・術後の比較)
手術前 ≫≫≫≫≫ 手術後
レントゲン MRI   レントゲン MRI
頚部椎間板ヘルニア 前方固定術1 頚部椎間板ヘルニア 前方固定術2   頚部椎間板ヘルニア 前方固定術3 頚部椎間板ヘルニア 前方固定術4
  ヘルニアによる脊髄の圧迫
(術前・術後の比較)
  頚椎ケージによる固定 ヘルニアがなくなっている
2)椎弓形成術
●適応症例   脊髄前後方からの多椎間病変(頚椎骨軟骨症、頚椎後縦靭帯骨化症など)
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後約2週間
③術後 : 頚椎カラー装着(約2週間)
頚椎後縦靭帯骨化症 椎弓形成術(術前・術後の比較)
手術前 ≫≫≫≫≫ 手術後
レントゲン MRI   レントゲン MRI
頚椎後縦靭帯骨化症 椎弓形成術1 頚椎後縦靭帯骨化症 椎弓形成術2   頚椎後縦靭帯骨化症 椎弓形成術3 頚椎後縦靭帯骨化症 椎弓形成術4
変椎管脊髄の圧迫(術前・術後の比較)   脊髄の圧迫は改善している

3.頚椎後方固定術

1)環軸椎固定術
●適応症例   頚椎前屈位症での不安定性、関節リウマチなどによる環軸椎亜脱臼、歯突起骨など
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後約2週間
③術後 : 頚椎カラー装着(約3ヵ月)
     固定性不良の時はHalo vest装着
環軸椎固定術(術前・術後の比較)
手術前 ≫≫≫≫≫ 手術後
前屈位 後屈位   レントゲン CT
環軸椎固定術1 環軸椎固定術2   環軸椎固定術3 環軸椎固定術4
環軸関節の不安定性がある   脊髄の圧迫は改善している
2)後頭骨頚椎間固定術
●適応症例   整復不能の環軸椎亜脱臼、頭蓋底陥入症
●術後経過 ①離床 : 術後翌日~
②退院 : 術後2~3週間
③術後 : 頚椎カラー装着(約3ヵ月)
     固定性不良の時はHalo vest装着
関節リウマチによる頭蓋底陥入症 後頭骨頚椎間固定術(術前・術後の比較)
手術前 ≫≫≫≫≫ 手術後
レントゲン MRI   レントゲン CT
関節リウマチによる頭蓋底陥入症 後頭骨頚椎間固定術1 関節リウマチによる頭蓋底陥入症 後頭骨頚椎間固定術2   関節リウマチによる頭蓋底陥入症 後頭骨頚椎間固定術3 関節リウマチによる頭蓋底陥入症 後頭骨頚椎間固定術4

脊椎疾患担当医

富田 誠司(とみた せいじ)
整形外科 部長

日本整形外科学会専門医
日本脊椎脊髄病学会指定脊椎脊髄外科指導医
日本整形外科学会認定脊椎内視鏡下手術・技術認定医
日本整形外科学会認定脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定スポーツ医
日本整形外科学会認定リウマチ医
日本整形外科学会認定運動器リハビリテーション医

【専門】
脊椎脊髄外科・外傷

※金曜午前に「脊椎脊髄専門外来」を実施しています